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表紙の版下制作……束見本のサイズの測り方

束見本ができたら本の各部のサイズを測ってみましょう。
ただし、前述したように普通、束見本は手作業で作られているため、機械で製本する実際の本と束見本とでは、サイズが微妙に異なることがあります。全判の紙を折る場合、折機で折ったほうが強く折れるので、束見本のほうが若干、背の幅がゆるくなっている場合があります。とは言っても、0.5mm程度の違いですので、それほど気にする必要はありません。
ここでは四六判の書籍「130×188mm」の版下を作ってみます。

表紙のサイズ

下の表紙の版下図をクリックすると大きくなります。

表紙
表紙の天地寸法

表紙の天地は実測で「194.5mm」でした。
計算上は以下のようになります。
四六判は「130×188mm」ですから、本文の天地は「188mm」です。それにチリの幅が天地2箇所に3mmずつ、合計「3mm×2箇所=6mm」つきます。さらに表紙の紙や糊の厚さなど天地2箇所に0.25mmずつ、合計「0.25mm×2箇所=0.5mm」を加算します。

  四六判天地188mm+天地のトンボ6mm+紙厚など0.5mm=194.5mm

溝と背の幅

表紙 表紙の「背幅」と「溝」は、とても測りにくい部分です。背幅は、角背ならばモノサシでも測れますが、丸背だとちょっと面倒です。BOOKHOUSEでは以下のように測っています。
まず、束見本の背の部分に、薄い「貼ってはがせるテープ」を貼ります。そして溝の凹みの部分と背のアールの部分をしっかりと押さえてピッタリ密着させます。
密着できたら、溝のカドと背のカドに鉛筆で印をつけます。
印をつけたら、テープを剥がして、長さを測ります。今回は溝「6.5mm、背幅「21mm」でした。
ここで注意しなければならないのは、束見本の背が、測るところによって多少の違いが生じる場合があることです。そのような場合は、何箇所かを測ってみて、適正値を推測する必要があります。

【補足】 上記の「貼ってはがせるテープ」ですが、BOOKHOUSEでは、テープに鉛筆で文字が書ける「3Mスコッチ」のテープを使っています。
背幅は、機械で製本した場合でも、天や地の付近と中央付近では若干違っています。これは下記で説明する表2や表3に巻きつけて貼った表紙の厚みによるものです。
表紙の左右寸法

表紙の板紙が貼ってある部分の左右は実測で「127.5mm」でした。それに上記で測った溝の幅「6.5mm」を加えた値「127.5mm+6.5mm=134mm」が表紙の版下上の左右になります。

巻き返し寸法

上製本は、表紙を芯材(ボール板など)の裏側まで巻きつけて貼り合わせ、一冊の本に仕上げます。その巻きつける寸法(折り返し寸法)は、決まっているわけではなく、デザイナーによってばらばらです。BOOKHOUSEでは「15mm」にしています。15mmといっても、そこには芯材の厚さ約「2mm」が含まれますから、表紙の裏(表2や表3)にみえる貼り合わせ部分は「13mm」程度になります。

表紙色ベタ

表紙色ベタ 表紙に「色ベタ」で印刷することがあります。しかし、BOOKHOUSEでは、極力、表紙の「色ベタ」は避けています。というのも、本は一度書店に並んでも、返品になって、再度、化粧直しをして出庫されます。その運搬の途中などで、本のカドがぶつかり、表紙の「色ベタ」が擦れて、紙色がでてしまうことが多いからです。とくに本の天地の背のカドはイタミが激しいです。そうなると商品価値が著しく落ちます。
できるだけ「色ベタ」は使用しないようにしてください。
なお、どうしても色ベタを指定する場合は、仕上がり寸法(内トンボ)の5mm程度内側までを色ベタにし、外側にインクがのっていない部分を残すと、見返との接着力が増します。

表紙の用紙と取数

四六版の表紙を印刷する用紙は、おもに「四六判ヨコ目」または「B判ヨコ目」をもちいます。9面付になります。

表紙取数

A5判上製の表紙には「四六判タテ目」または「B判タテ目」をもちいます。8面付になります。A5判でも並製の場合は、「四六判ヨコ目」または「B判ヨコ目」で、四六判の本と同じ取数、9面付になります。

表紙取数

上記の取数の図版には、後述「面付の基礎知識→面付」のページで説明する「クワ(四辺のどこか一辺に10mmから12mm程度の余白」が入っていません。また、これも後述「面付の基礎知識→ドブとクワエ」のページで説明しますが、実際に面付するときは、上記の図版のように9分割や8分割したスペースの中央に面付するのではなく、外トンボ(仕上がり寸法の3mm外)同士をくっつけるように面付するので、全体の面付面積が狭くなります。

【注意】 背幅が異常に広いときは上記の取数にはなりません。取数を計算するときは、実際の版下の仕上寸法を基に計算してください。版下の寸法が用紙のギリギリの場合でも、ドブを付けずに面付けして印刷する「裁ち割り」ができるかもしれないので、印刷所と相談してください。
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