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加工

出版印刷業界で「加工」というと、折り加工や箔押し加工なども指しますが、ここでは「カバーの表面加工」について説明します。
代表的な「カバーの表面加工」には「PP加工」と「ニス加工」があります。

PP加工

「PP加工」は、カバーに薄い透明フィルムを貼る加工です。「PP」は「ポリプロピレン」の略称で、表面を保護し、汚れを防ぎ、カバーの強度をアップさせる効果があります。
「PP加工」には「グロスPP」と「マットPP」の2種類があります。

グロスPP 光沢のあるタイプのフィルムを使用するPP加工です。「クリアPP」や「コートPP」と呼ばれることもあります。
PP加工をしたカバーは、PP加工をしていない印刷しただけのものと比べると、つやつやしていて、色彩も鮮やかに感じられます。ただし「グロスPP」の場合、印刷した色が、校正刷りと違ってみえることがあります。とくに「赤み」が強くなるといわれています。肌色などは注意が必要です。この色の変化は、PPフィルムや印刷インクの特性のためで、避けられない現象です。
マットPP マットPPは、光沢が抑えられた艶消しタイプのフィルムを使用するPP加工です。
光の反射が抑えられているため落ち着いた高級感があります。やわらかく知的な雰囲気の加工です。色味の変化は「グロスPP」ほど目立ちません。
PPの表面は、上記の「グロスPP」はつるつるしていますが、「マットPP」は少しざらついた印象があります。そのため「マットPP」は、表面を強く擦ったりすると、こまかい傷がつきやすいという弱点があります。

いずれの「PP加工」でも、用紙が「四六判110kg」以上でなければ、加工することができません。薄い紙の場合、フィルムを高熱で圧着させるため、紙が反ったりシワが発生したりしてしまう可能性があります。

ニス引き

上記の「PP加工」と同じようにカバーの表面を保護する加工に「ニス加工」があります。「OP(オーバープリント)ニス」といわれることもありますが、一般的には「ニス引き」といいます。
「ニス」には、光沢がある「グロスニス」と、艶を抑えた「マットニス」の2種類があります。
PP加工が専門の機械でフィルムを貼りつける方法であるのに対し、ニス加工は印刷機に専用のニスコータを取り付けて印刷と同時にニスを塗布することができます。そのため、納期が早く、コストが抑えられるという利点があります。
また、PP加工が用紙全体を加工するのに対し、ニス引きは部分的にニスを塗ることもできます。ニスを塗った部分だけもりあがるので、独特の効果が生まれます。高級感があるカードや紙袋などにもニスが使われています。
ニス引きは、PP加工ができない「四六判110kg」以下の用紙にも加工することができます。
PP加工したカバーは再生紙として使用するのはむずかしいのですが、ニス引きした紙は再生紙の原料としても利用できるので環境に優しい加工ともいえます。

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